1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ


今日帰ってくるのか……じゃあ、少しは楽か


お父さんがいてもきっと成田は大丈夫って強がるんだろうな

そう思いながら庭でボールを蹴っていた健の相手を少しすることにした

「今日お父さん帰るのか?」

「うん、でも最終便だから…ご飯を炊けばいいのかな?」

「そうだな、健は偉いな、お姉ちゃんはまだ熱があるしな」

「そんなことないよ、お姉ちゃんの方が大変だよ
僕はさ友達とも遊べてるしね

あっでもお姉ちゃんの足が悪い間は琴を連れて帰るし遊ぶのはやめようと思ってるよ」

「そっか」

小学5年でも自分の家の事情がよくわかってるな

俺の小学生の頃はサッカーばかりしてたな

「健……お姉ちゃんはいいお嫁さんになれるよ
真面目すぎるけど(笑)」

「そうだね、真面目すぎるよね
でも仕方ないんだよ、お母さんがいないんだから……」

「健はお母さんの記憶はあるのか?」

「うーん、正直に言うとあんまり覚えてないんだよ
もう5年がくるって言ってたよ

僕の年で琴の世話とかしてたんだから友達もいるかどうか逆に心配だよ」

5年て……成田は小学校から家の事をしていたのか

健も5年生ながら落ち着いてるし

「健、日曜日はあいてるのか?サッカーするか?」

「いいの?」

顔が急に明るくなった

「俺さもうすぐ部活に入るんだよ、出来る時間があれば健に色々教えたい」

「ありがとう」

じゃあなと健に手を振り家に帰った



海斗が家に帰るとキッチンに千円札がおいてあった

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