1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ


ある日の放課後、帰る支度をしていると廊下から声をかけられた

「菜々美ちゃん!」

菜々美は廊下側の窓に寄って行く

「剣也くん、どうしたの?」

「海斗が今日から部活に入るって言うから一緒に行こうと思って迎えに来た」

「クラスマッチかっこよかったよ」

「ありがとう、でも菜々美ちゃんは海斗の応援だしー」

ちょっと拗ねた顔をした

「そりゃそうでしょ、同じクラスなのに」

剣也くんが廊下にいるだけで通る人は見ていく

目立つんだよな(笑)

「菜々美ちゃんの応援が欲しかったのにさ」

窓に添えていた手を掴まれた

えっ?



「剣也くんが菜々美の手を握ったー」

美咲が声を出した

周りの女子も菜々美を見る


海斗が教室に戻ってきた

「何の騒ぎ?」

「剣也くんが来てて……」

海斗は窓に寄っていき、菜々美の手を剣也から離した

「お前、何やってんだよ!?」

「海斗を迎えに来て、菜々美ちゃんとお話」

「手はいらないだろ?」

「これは俺のスキンシップというか、愛情……
嫌かな?」

菜々美の手を再び握る


「嫌というか、特に何も思わないけど」

「菜々美ちゃん、面白ーい、俺とつきあっちゃう?」

「えーと、それはどこに?」

本当に純粋な子だな

「彼女にならない?ってこと」

「剣也、お前、何をいきなり言い出すんだよ」

「俺はいつもこんなだよ、知ってるくせに」

菜々美を見てニコニコしている

「剣也くんは海斗くんを迎えに来たって言ってたでしょ?」

うんうんと剣也が頷く

「だからそういうノリでは付き合えない
ごめんね」

菜々美は自分から手を外した

「えっ?俺は振られたの?……初めてなんだけど」

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