1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ
次の週の昼休み
菜々美からお弁当が渡された
海斗はお礼を言ってお弁当箱を開ける
「愛妻弁当かよ」
祐真が覗く
「今週だけな、母さんがいなくてな」
「親いねえのチャンスじゃん?」
「いや、部活もあるし父親が休みでずっといるんだよ
それに菜々美は夜は家から出れねぇ」
「お前らイチャイチャしないからどこまで仲良いのかわかんねぇー」
「それは俺も思った、夏休みもずっと部員と帰るし遊んでないだろ」
亮太からも心配される始末だ
「まあな、結構部活でバテるんだよ」
お弁当を食べ始めた
「海斗ー」
まどかが教室に入ってきた
「何?」
「これ、学祭の出し物についてのサッカー部のプリントだよ、崎山くんも」
「部活で渡せばよくない?」
「ちょうど先輩に会って配ってって言われたの」
「あの子誰?」
美咲が尋ねてきた
「知らない……かな」
「呼び捨てにしてたね」
朝香も話してくる
「海斗くんはみんな名前で呼ぶし……」
「あっ、卵焼き頂戴」
まどかは海斗のお弁当から卵焼きをつまんで食べた
「ん?海斗ん家の卵焼きの味と違うくない?
いつも甘い卵焼きじゃん
甘いの好きって言ってたよね…それに肉巻きに人参嫌いなのに入ってる」
菜々美が焼いた卵焼きは成田家の味で薄口醤油を使っていた
肉巻きには人参とじゃがいもを巻いていたのだ
一応冷凍食品は使っていない
「もう、いいから出ていけよ
プリントは受け取ったからさ」
「プチトマトも嫌いじゃん、食べてあげるよ」
パクッと口にいれた