「あんたじゃない、とは言ってないからね」

 確かに、心機一転、新しい女作りました、というよりも、始まりは浮気だったけれど本気になりました、と言った方が幾分マシな気はする。
 まぁ、私は、だけれど。
 子供がいるのも、ちょうどいいと考えたのだろうか。家庭を持っていても女遊びはできる。恋人という、一方が突き放せば縁が切れてしまう希薄な関係と違って、夫婦という、法律で互いを縛り合意がなければ離れられない関係は、家族も親戚も黙らせつつ性欲を発散して生きていくのに最適だと考えたのだろう。
 己の子ではないけれど俺は家族を愛してると、大切にしていると、世間体を保ちつつ、称賛でも浴びたいのか。
 ああ、ほんと。

「……は? っちが」
「てか私、あんたの家族にも親戚にも嫌われてんじゃん。会ったことないけど」
「そ、れは、」
「やだよそんなの。嫁姑問題って、シャレになんないらしいし」
「……」
「てかさ、普通に考えて無理でしょ」
「……」
「そもそも私ら好きあってないし。子供ってそういうの感じ取るらしいし」
「……」
「……そんなの、最初から……なくて……いい」

 ふざけんな。
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