身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「もう一度、説明しますよ。婚儀は一週間後になります。サンザラからは、もちろん国王陛下が参加されます。他にも……」

喋り続けるイアンの言葉が、またしても聞こえなくなってくる。

一週間後、私は正式にエディの妻になる。その儀式に本物のソフィア様が間に合うかどうかはわからない。けれど、イアンの口ぶりからすると、王女が無事に助けられるのは、もうすぐのことなのだろう。


「ソフィア様。男の私からこんなことを言うのは大変失礼かと思いますが、万が一にも、ご懐妊されることのないようにお気を付けください」

そんなこと言ったって、相手のあることじゃない。私の抵抗だけで避けられることじゃないわ。
エディが事実を知っているからこそ、待ったをかけられるけれど、そうでなかったら、女の私では拒んでも力で敵わないだろう。相手がエディじゃなかったら、今頃どうなっていたかわからない。


「万が一そんな雰囲気になるような時は、私の方から月の障りだと申告します」

私に代わって答えたのは、ダーラだった。
ああ……ダーラもやっぱりサンザラの人間なのだ。そんな小手先の言い訳なんて、普通なら通用するはずないのよ。そんなの嘘だって、すぐにバレてしまうって。

ダーラとすっかり打ち解けたと思っていたのは、私の独りよがりでしかなかったのだろう。
一番近くにいたダーラですらこうなのだ。クラリッサやレスターなんて、問題外だ。

必要なことだけを一方的に伝えると、イアンはさっさともどっていった。











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