身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「サーヤ、どうした?」

その夜、私の落ち込みはエディにも伝わったようだ。ベッドに座って後ろから抱きしめながら、気遣うように声をかけてくる。

やっぱり、この世界にはここにしか私の居場所はないって実感する。月森さや香としての私を受け入れてくれるのはエディだけ。

思わず鼻を啜ったせいで、泣いていたのがバレてしまった。


「泣いているのか?」

私を向かい合わせにさせると、エディが心配そうに顔を覗き込んでくる。
そうか……私のことをここまで気遣ってくれるのは、この人だけなんだなあ。この苦しい胸の内を、全て打ち明けてしまいたくなった。

エディの優しい視線に後押しされて、ポツリポツリと話しはじめた。


「ソフィア王女の足取りが掴めたって……」

そう言うと、エディは私をベッドに横たえた。彼もまた同じようにして、至近距離で向き合って話を続ける。エディはその間、ずっと私の髪を撫でてくれる。


「婚儀の日程も決まって、その……万が一にも懐妊することのないようにって……」

私の不安だとか不満だとかを敏感に感じ取ったのか、エディはその逞しい胸元に、私の頭を抱き寄せた。




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