身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「勝手だよね。ソフィア様と無事に入れ替わったら、もう用無しって言われてるみたい。まあ、本当にそうなんだろうけど。
その後は、サンザラで地位も生活も保証するって言ってたけど、それだってその通りだとは思えない。だって、嫁いだはずの王女と全く同じ外見の私がいたら、絶対に不都合だもの」

滲んでくる涙の意味は、よくわからない。悔しさなのか、やるせなさなのか、それとも違う意味があるのか。


「帰りたいなあ……無理だろうけど」

思わずもらした一言に、エディがギュッと抱きしめてくる。

「サーヤの居場所はここにある」

やっぱりこの人は、すごく優しい。そして、すごく温かい。


「ソフィア様と入れ替わるまでだけどね。でも、ありがとう。その一言に、すごく助けられてる」

「俺がサーヤを見捨てると思うか?」

「え?」

見捨てるもなにも、エディとは本人と入れ替わるまでって、約束したじゃない。


「サーヤ」


切なげに瞳を揺らすエディを見つめる。彼は今、なにを考えているのだろうか?




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