身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「俺は、サーヤを手放すつもりはないよ」

キッパリ言い切ると、私にどういうことかと問いかける隙も与えないまま、ガブリと首元に噛みつかれてしまった。

「痛っ。ちょっと、なにするのよ!!」

一瞬、滲んだ涙の種類が変わる。ものすごく痛いわけじゃない。どちらかというと、驚きの方が大きかった。
少しジンジンとするその噛み跡を、満足げな顔で見つめたエディ。彼はそこに、おもむろに舌を這わせてくる。

「な、なにしてるのよ!!」

私の抵抗なんて、少しも敵わない。傷跡を労るように舐め続け、しまいにはそこら中にキスを落としはじめた。

なにをしても、どれだけ抵抗しても、エディはピクリともしない。ついには抵抗することを諦めて、されるがままになっていた。

そうしているうちに、なんだか安心して心地良くなってくる。そして、いつの間に眠りについていた。









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