身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
ダーラも伴っていないし、1人でいるとなんとも不安な気持ちになってくる。


きっと、エディは大丈夫。だって、この国一の剣の使い手だって言ってたもの。
まるで自分に暗示をかけるように、〝大丈夫〟って心中で繰り返すものの、心配で落ち着かない。




不安な気持ちで俯いていると、いつの間にかユキが近付いてきていた。


『寂しいね』

「ええ、そうね」

ユキをはじめ、動物達はエディを慕っていた。動物は人より敏感だっていうし、エディの不在になにかしら感じとっているのかもしれない。もしくは、沈んだ私の様子に。


『狼さんがいないから、みんなも不安がってる』

「狼さん?」

以前、一度だけ現れた、あの大きくて真っ黒な狼のことだろうか?ここの動物達は、なぜかあの狼にすごく懐いていたし、私が知らなかっただけで、もしかしたらあの狼はこの森に住んでいるのかもしれない。

ユキはまるで私を慰めるように、私の足の上に座って、しばらくの間寄り添い続けてくれた。









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