身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「ソフィア様。エドワード様のおもどりは、数日かかるそうです」


夜になってダーラから受けた知らせに、少なからず狼狽えた。
なんでも、王都から少し遠い町であることに加えて、悪質すぎる犯行に、残党を野放しにすることもできず、その後を追っているらしい。

婚儀を控えているとはいえ、エディの立場だとその職務を他人任せにすることはできないのだろう。もちろん、彼自身に、婚儀を優先する気はさらさらないんじゃないかと思う。


「寂しいなあ……」

寝る準備を整えて寝室に入ると、思わず呟いていた。この部屋でエディと過ごすことに、すっかり慣れていたみたい。彼の温かさに、彼の息遣いに。

エディの私に対する甘すぎる言動には、いつもドキドキさせられてしまうけれど、それも嫌じゃない。


彼の守ってくれる私の居場所は、あまりにも心地良くて、いつしか手放したくなくなってしまったみたい。


それを認めるわけにはいかないって、気持ちにずっと蓋をしていたけれど……
彼のいない今、その身の安否もわからない中で、押し込めようとしても想いが溢れてしまう。

エディに会いたい。会って、無事であることを確認したい。声が聞きたい。頭を撫でて欲しい。彼に触れられたい。


許されるのなら……エディのことが好きだって伝えたい。







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