身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
エディ……
今、あなたはどこにいるの?
どうか無事でいて。


開け放った窓から、夜空を見上げた。良く晴れた今夜は、月明かりが辺りを照らし、どこか神秘的な雰囲気を醸し出している。

夜空に浮かぶ無数の星。
エディも、この空をどこかで見上げているのだろうか?


エディの無事を祈って、無意識のうちに口ずさんだのは、私が事故にあったあの日、その直前に訪れていた小児病棟で、子ども達の回復を祈って歌った〝星に願いを〟だった。
どうか、エディが無事に帰ってきますように。






翌日目を覚ました頃、城内は慌ただしくなっていた。

「ダーラ、なにかあったの?」

「詳しいことは知らされてませんが……とにかく、陛下の側近も騎士達も、早朝から動かれています」

なんとなく落ち着かなかったけれど、厳しいクラリッサの手が緩められることはなく、マナーにダンスに、容赦のない指導が続く。

エディのことや、城内の慌ただしさに気を取られそうになったものの、表面上はなんとかこなせてたと思う。





< 148 / 235 >

この作品をシェア

pagetop