身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「あれ……?」

ふと目が覚めて見渡せば、そこは森の中だった。

「私、寝てたのかしら?」


私、ここでなにをしていたんだっけ?
ふと足元に温もりを感じて目を向けると、ユキをはじめ、動物達が私の周りを囲んでいた。


「そうだ、狼!!」

思わず出た大きな声にら動物達がピクリと反応する。けど、それにかまってる余裕はない。
急いだ辺りに目を凝らすも、傷を負った狼の姿は見当たらなかった。


「ユキ、狼は?」

『もう大丈夫だって、行っちゃったよ』


大丈夫?
結局、ユキに言われるまま歌っただけで、手当てとかなにもしてないんだけど……
かなりグッタリしていたはずだ。大丈夫だなんて、信じられない。


けれど、ここに姿がないということは、ユキの言う通り、狼は自力で動けたのだろう。


「私、もどらないと」

どれほど長い時間、ここにいたのだろう?私がもどらないことで、ダーラ達に心配をかけてしまっているかも。

狼のことは気になったけれど、姿を消してしまった以上、私にはどうすることもできない。動物達に別れを告げると、森を抜けて城へ急いだ。









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