身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「ソフィア様、どちらにいらしたんですか?」

出会い頭、心配しつつもわずかに怒りの混ざった様子で、ダーラに問い詰められていた。

「ごめんなさい。ちょっと……」

「あなたから目を離したレスターも悪いですが。それにしても、おひとりでの行動はおやめください」


ダーラは本当に、私のことを心配して言ってくれてるのかもしれない。けれど、どうしてもその裏に、〝本物のソフィア様がもどるまで、しっかりしてもらわないと困る〟って思われてるようでならない。

サンザラの人達にとって、私は大事な身代わりでしかないのだから。


争い事を好まない、楽観的なサンザラの人。
最初はそれに呆れたし、苛立ちもしたけど、この人達のどこか力の抜けたような一面に、ホッとすることもあったし、癒されることもあったと思う。

けれど、今の私にはこの人達の存在がちょっと辛い。


自国の王女様への忠誠心は、決して否定しない。
でも、それを大切にするがあまり、私のことは心のない〝モノ〟のように扱われているように感じてしまう。







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