身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「ソフィア様、お話があります」


ダーラのお小言を聞きながら、部屋へもどる途中、イアンに声をかけられた。
お茶の用意を拒んだイアンは、部屋に入った早々に、焦りなのかなんなのか落ち着かない様子で、私のもっとも待ち望んでいて、なおかつもっとも恐れていたことを告げた。



「ソフィア様が、見つかりました」

「え?」


驚く私とは正反対に、ダーラの顔には喜びが広がる。

ソフィア様を攫った人達の足取りを追っていることは、以前聞いていた。もちろん、私も王女の無事を願ってきた。
けれど、いざこの報告を耳にして、思った以上に動揺する自分がいた。


「安否は?ご無事なんですよね?」

もどかしそうに尋ねたのは、ダーラだった。自国の大切な王女様のことだもの。気が急いて当然だ。


「ご無事です。海の向こうの国へ売り飛ばす予定だったようで、幸いにも、穢されるようなこともなかったとのこと。
このような言い方は本気ではありませんが……商品として、そこそこ丁重な扱いを受けていたようです。エドワード様との婚姻のため、いつも以上に着飾っていたことが幸いだったようです。この身なりなら、高値で売れると思ったのでしょう」

悔しそうに語るイアンだけれど、その反面、心底安堵していることは容易に見てとれる。






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