身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

「うっ……」

堪えきれなかった涙が、嗚咽と共に溢れてくる。枕に顔を押し付けて、必死に隠そうとする。でもそれは、なにから隠そうとしているのか、私自身にもよくわかっていない。


どうして私は、この世界に来てしまったのか……
なんでソフィア王女と同じ外見なのか……

あの時、轢かれそうになっていた猫を……ユキを助けなきゃよかったの？


そんなことまで考えて、慌てて否定する。
違う。ユキを助けたことは、間違いなんかじゃない。あの子はここで、私を支えてくれた。一緒の時間を過ごしてくれた。


違うの。そんなことじゃない。
そうじゃなくて、今一番私が辛いのは……

一人の人間として、正当に扱われていないことよりも……


〝エディのことを諦めなければいけない〟ということ


エディが好き。大好き。
たとえ、彼から向けられる愛情が演技だとしても、それでも私は、彼のことを好きになってしまった。

ニセモノのまま、ここにいてもいいと思ってしまうほど、彼のことが好き。

この世界で、彼だけが私の存在を認めて優しくしてくれた、特別な人。