身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「単刀直入に申し上げます」

バーンハルドの厳しい目つきに、思わず背筋を伸ばした。良い知らせでないことは、彼を見れば一目瞭然だ。


「団長が、怪我をされました」

「え?」

エディが、怪我って……

「盗賊を捕獲する際、突然飛び出した子どもを助けようとして、肩を負傷しました」

「エディは、大丈夫なんですか?」

どれほどの怪我なのか?命に別状はないのか?
彼のことが心配で、気ばかりが急いてしまう。

「かなり、出血してるはずです」

「はず?そ、それで?」

「行方不明です」

「え?」

どういうこと?
行方不明って……まさか、連れ去られたってこと?


「団長自身の意思で姿を消した、というのが現状です」

「彼の、意思で?」

バーンハルドの言葉を繰り返すことしかできない私に、彼は一つ頷いた。



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