身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「はあ……」

「あら、ソフィア様。こんなめでたい日に、ため息なんて吐くものじゃありませんよ」


今日、この後の長い試練を思い浮かべて、思わず吐いたため息を、ポリーは聞き逃さなかった。

「ごめんなさい。なんだか、緊張しちゃって……」

本当はそれだけじゃないけれど、緊張しているのも事実だから、嘘にはならない。



「大丈夫ですよ。今日はいつでも、エドワード様が横にいてくださいます。リラックスして臨んでくださいね」

「そうですね」


ポリーの言う通り、今日はこの後ずっとエディが横にいてくれる。でもそれは、晩餐会までのこと。
その後、自室にもどって湯浴みと着替えのタイミングで、ニセモノの私の役割は終わり。
今夜、彼の腕の中にいるのは、私じゃない。



「まだ時間もありますし、リラックスできるようにハーブティーでもいれましょうね」


まるで私の母親のようなポリー。彼女はエディが指名した侍女のようで、本当によくしてくれる。
こういう気遣いは、心に沁みる。














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