身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

馬車の中では、宣言された通り、早速勉強会が開催された。とりあえず、真っ先にやるべきことは、イリアムの王族を覚えて、対面の挨拶をクリアすべく礼儀作法を身につけること。これはクラリッサだけでなく、イアンも教師役になってくれた。
鬼教官２人を前にして、萎縮する私。隣に座るダーラが、時折励ましてくれたのが、唯一の救いだ。


「いいですか？まず、イリアム王国の現国王陛下ですが、エドワード様のお兄様であられるエリオット様になります。覚えてください」

はい、復唱なんて言われて、エリオットエリオットエリオット……と、まるで受験勉強をするように繰り返す。終いには、オットエリになってて、わけわかんないし。


「エリオット陛下は、現在２８歳。前国王が２年前に崩御され、２６歳の若さで国王になられました。大変聡明なお方で、エリオット陛下の治世になって以来、わずか２年でイリアムはますます発展を遂げております」

うんうんと聞くけれど、なんせメモをとることができない。耳だけで覚えるのは、なかなか難しい。
とりあえず、エリオット＝すこい国王で許して。