身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
いよいよ見えてきたイリアム王城は、ある意味私の期待を裏切らなかった。

「おっきい……」

この建物は、一体どこまで続いているのか……
外部からの侵入を阻止するためか、高い塀で囲まれているものの、その上から見える城の上部は、まさしく幼い日に絵本で見たような立派なものだ。

奥に見える、ひときわ背の高い塔のようなものは……火の見やぐらのようなものだろうか?おそらく、見張り台。
きっと、舞踏会を開くホールのようなものもあるのだろう……

ダメだ。非現実すぎて、これ以上の想像ができない。


「ようこそいらっしゃいました。そのままお進みください」

入り口でサンザラの馬車だと確認されて、ついに王城内へ踏み入れた。


「ソフィア様、よろしいですね?」

深妙な顔をしたイアンに、口元を引き締めて一つ頷く。

「私達がいますからね」

ダーラが精一杯励ましてくれる。


人の手を借りながら馬車を降りて、城を見上げた。その迫力だけで尻込みしそうだけど、私はひとりじゃない。
後ろに控えるダーラとクラリッサ。横に付くイアン。少し離れて守ってくれるレスター。大丈夫。少なくとも、4人は味方がいる。

あとは、一分一秒でも早く、本物のソフィア様がもどってくるのを祈るのみ。




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