身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「エリオット様は、一見物腰の柔らかい人物に思えます。ですが、その実は必ずしも見かけ通りというわけではありません」

一体どんな人物なんだと、思わず身を震わしたのは数時間前の馬車の中でのこと。


「確かに、物腰が柔らかいのもエリオット様の一面ではあります。しかしながら、大変頭の切れるお方で、かつシビアな判断を下せる方です。
敵とみなせば容赦はしない。逆に、味方となればとことん大切にされます。
国民から絶大な支持を受けたお方です」

つまり、この人にもし敵認定されたら、エドワードに会う前に終わりってことだ。最初の声が若干震えてしまったのは、許して欲しい。




「ソフィア王女。大変申し訳ないが、エドワードは現在、城を留守にしている」

本当に申し訳なさそうにするエリオットからは、厳しい判断を下す王の姿は感じられない。人の良ささうな青年にしか見えない。


「はい。伺っております」

「10日ほどでもどるだろう」

は?10日!?
4日も減ってるし……



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