身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
楽観的すぎやしませんか?
なんだろう、この揺れは……

ガタゴトとなる音とともに、揺らされる体。かなり不快な揺れに、顔をしかめた。


確か私、猫を助けようとして、事故にあって……

ああ。まだ担架の上なのかな?
それとも、救急車の揺れ?
それにしても、ずいぶん酷い揺れだ。


「痛っ」

一際大きく揺れて、一瞬体が浮いた。
結果、頭を打ちつけた。


「イアン様。今、〝痛っ〟って……」

「ああ。大丈夫ですか?」

肩にそっと手が添えられたのを感じる。けれど、体が重くて反応を返せそうにない。

この揺れの中で、さらに多少肩を揺らされたってさほど変わりない。けれど、重ねて呼びかけられるのは、少々鬱陶しい。

「おい」

「……さい……」

「おい」

「うるさい!!」


イライラが頂点に達して、思わず声を荒げた。
続けて、ガバリと起き上がった。



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