身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「覚えておけ。俺は女嫌いでも、ましてや男色の気があるわけでもない」

低い声音で言う彼に、コクコクと首を振るしかできない。理解したことを、精一杯アピールした。


「俺には女にかまけている暇などないだけだ」


それまで脅すような口調だったエドワードが、今放った一言だけは真剣で、誠実な目をしていた。彼にとっては、それ以上でもそれ以下でもない。そんな本音が、私の中にストンと落ちてきた。
それと同時に、さっき彼に対して感じた恐怖心が、さっと引いていく。


「ごめんなさい。聞き齧った噂話だけで、あなたのことを判断してた。本当に、ごめんなさい」


調子に乗りすぎだった。エドワードが即首をはねるようなことをしなくて、私の話を聞いてくれたことに、気が緩んでた。


私に近付いた時、彼の襟ぐりからのぞく首筋、それから袖から出ている腕には、決して少なくない数の傷があった。この人は、この国の騎士団長として、本気で向き合ってるだ。
それなのに、私は……



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