身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
ゆっくりと、まるで私が怯えないように再び間合いを詰めると、エドワードは私の頬に触れた。それが思いの外温かくて、優しくて、ドキリと胸が鳴った。


「サヤカにしたら……まあ、俺も理解し難いが、突然知らない世界に連れて来られて、こんな役をさせられて、不安でしかないんだろ?」

やっぱり、この人本当はすごく優しい人じゃない。彼の言葉に、ますます涙が溢れ出す。

エドワードは私をそっと抱き寄せると、自分の胸元に優しく押し付けて、落ち着くまで頭を撫でてくれた。




「ごめんなさい」

やっと落ち着いたのは、ずいぶん経ってからだった。彼はその間、なにも言わないで、ただずっとそこにいてくれた。

「もう、大丈夫か?」

「はい」

そっと体を離されると、途端に寒さを感じる。思わず腕を伸ばしそうになるのを、グッと我慢した。






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