身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
考えるまでもない。ここで突っぱねたら、私の未来はお先真っ暗。イアン達だって、助けてくれないだろう。


「わかりました。私にはありがたすぎる内容です」

「よし、成立だな」


それから、大まかな擦り合わせをした。
私が〝さや香〟である以上、エドワードは私を〝ソフィア〟と呼ぶつもりはないらしい。それは、ある意味当然だろう。ソフィア様に対して愛があるのかどうかはわからないけれど、私をその名で呼ぶのは、本物に対して失礼だ。エドワードだって、ニセモノの私をその名で呼びたくないはず。

「さすがに〝サヤカ〟では、サンザラの人間に俺がニセモノのことを知っているとバレてしまうな。それに、馴染みがなさすぎる……」

そう言ってしばらく考え込んだエドワードは、何か思いついたのか、パッと明るい表情になった。

「サーヤだな。俺の母親の出身国なら、ソフィアをそんな愛称で呼ぶこともあり得る。ソフィアの響きとも遠からずだしな」

「はあ……」

近からずでもあるような気がするけれど、彼がやけに楽しそうな目をするから、なにも言わないでおく。


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