身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「それから、俺達が仲睦まじい姿を見せないと、次は側妃だのなんだの言い出しかねない。エリオットに息子も生まれているというのに、数代前に王家の男児が途絶えそうになって以来、宰相をはじめ、そのあたりはかなり神経を尖らせてるからな。それなりに通じ合っているようにしてもらうぞ。手はじめに、サーヤも俺のことをエディと呼ぶように」

愛称呼びって、この世界ではかなり仲が深まったことを意味するのだろうか?

「わかりました」

異性を下の名前で呼ぶ経験なんてなかったけれど、エディなら呼びやすいかも。これが日本人の名前だったら、絶対にすんなりと呼べてない。恥ずかしすぎる。

でも、エディならペットを呼ぶ感覚でいけそう。それを素直に言えば、きっとまた魔王様を降臨させてしまいそうだから、黙っておくけど。

「それから、サーヤがソフィアじゃないことが俺にバレてることは、隠しておこう。サンザラの者達にはなにも言うな」

「どうして?」

私の問いに、ニヤリとする。

「その方が、おもしろそうだろ?」

なにか意味があるかもと思っていただけに、そのふざけた返しに呆れてしまう。

「というのは冗談で」

本当に?って、疑いの目を向ける。
イアンとダーラの話によると、エディは厳しい人だとか堅物かなんて思ってたけど、全く違う。ある意味、厳しい一面もありそうだけど……なんというか、悪ガキ気質満載じゃない?



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