身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています
「つまり、子を成せということだ」

「なっ……」

無理無理無理無理。
そもそも、こんな偽装結婚でそんなことになっていいはずがない。ていうか、私まだ17歳だよ?恋の一つもしたことがないのに、それを飛び越えて子どもなんて……


「安心しろ。さっきも言ったが、そんな貧相な体じゃあ、なあ……」

ムッとはするけれど、そういう意味で興味を持たれないのはとりあえずありがたい。言い返すのはやめておこう。


「まあ、サーヤから頼まれれば、応じられないこともないけどな」

「そ、そんなこと、頼むはずがありません!!」

〝そう?〟なんて、余裕たっぷりに返すエディを、じろりと睨む。

「まあ、そういうことだ」

なにが?
私、絶対に頼まないからか。

サッと立ち上がったエディは、背筋を伸ばした。こうして見ると、彼はかなり背が高いことがわかる。

「安心しろ。むやみやたらに、襲ったりしない」

あたりまえだ。やめてくれ。
拒絶の意を込めてジロッと睨むも、エディにとってはなんの効力もないことは明らかなのが悔しい。



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