月光を呑む。
伝説。
伝説。

この街には、伝説があることを僕は数日前に知った。
大事なものを見つけたとき、目の前に桜の木でできたうつわが現れ、その中は液体で満たされていて、月光の眩しい夜の匂いがするのだという。そして月のような淡い色の光を放つ。
それをひと匙呑めば、神様が永遠に大事なものを守ってくれる────。
そんな伝説。
フィクションのような夢のような、そんな伝説。
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