今さら本物の聖女といわれてももう遅い!妹に全てを奪われたので、隣国で自由に生きます
【第一章】
プロローグ
「あらあらまあまあ、可愛らしいこと。殿下の背中に隠れてしまって、そんなに私が怖いかしら?私からしてみれば、あなたのそのド天然さの方が恐ろしいけれど」
「なっ………ミレーヌになんてことを言うんだ!そもそもお前、誰だ…………!?」
殿下ーーーまだ私の婚約者である彼が私を見て言う。おわかりないのかしら。これから婚約破棄するとはいえ、まだ彼の婚約者は私だ。それなのにその背に私の義妹を隠し、私を睨んでくる彼はとてもではないが私の婚約者には見えない。
ああーーー。私ったら、何を考えていたのかしら。そもそもこんな人達のために我慢することなどないじゃない。
つい一昨日までは好きだった彼が、今はへのへのもへじにしか見えないのだから恋心って恐ろしい。凄まじいまでのフィルターがかかっていたのだろう。いや、フィルターというより呪縛?刷り込みかしら
私がそんなことを考えていれば、私がひるんだと勘違いしたのか。次第に余裕を取り戻した彼が偉そうに笑って言った。
前はその夜空のような黒髪も、アメジストのような瞳も好きだったのに。少し偉そうな態度も、俺様気質なところも。偉そうな態度の中にも私を慮ってくれる、優しさがあると信じていた私は間違いなく馬鹿だった。ええ、ものすごい馬鹿だったわ。我ながらなんでこんなのが好きだったのかイマイチよく分からない。
「聞いてるのか、ミレルダ・シェイラン!!」
うるさいわね。声大きすぎるのよ。
思わず顔を顰める。
「なっ………ミレーヌになんてことを言うんだ!そもそもお前、誰だ…………!?」
殿下ーーーまだ私の婚約者である彼が私を見て言う。おわかりないのかしら。これから婚約破棄するとはいえ、まだ彼の婚約者は私だ。それなのにその背に私の義妹を隠し、私を睨んでくる彼はとてもではないが私の婚約者には見えない。
ああーーー。私ったら、何を考えていたのかしら。そもそもこんな人達のために我慢することなどないじゃない。
つい一昨日までは好きだった彼が、今はへのへのもへじにしか見えないのだから恋心って恐ろしい。凄まじいまでのフィルターがかかっていたのだろう。いや、フィルターというより呪縛?刷り込みかしら
私がそんなことを考えていれば、私がひるんだと勘違いしたのか。次第に余裕を取り戻した彼が偉そうに笑って言った。
前はその夜空のような黒髪も、アメジストのような瞳も好きだったのに。少し偉そうな態度も、俺様気質なところも。偉そうな態度の中にも私を慮ってくれる、優しさがあると信じていた私は間違いなく馬鹿だった。ええ、ものすごい馬鹿だったわ。我ながらなんでこんなのが好きだったのかイマイチよく分からない。
「聞いてるのか、ミレルダ・シェイラン!!」
うるさいわね。声大きすぎるのよ。
思わず顔を顰める。
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