今さら本物の聖女といわれてももう遅い!妹に全てを奪われたので、隣国で自由に生きます
「馬鹿馬鹿しい!今すぐお前のその小賢しい口を───」
「私、あなたに髪を切られたことも忘れてませんのよ?」
「はっ………!?」
あれはまだ、お互いに幼い子供の時の話。この王太子は私の髪がふわふわで気に食わないから、というただそれだけの理由で貴族の令嬢たる私の髪を無残に剣で切り落としたのだ。あの時は唯一母とおなじふわふわの髪───色は違うけれど。それを無残に切られたことに絶望し、泣いたものだ。
それを思い出したのか、王太子も少しうろたえている。ミレーヌは黙って私たちの会話を聞いていた。
「ね?面々の蜂を払わねば、我が身を滅ぼしますのよ?」
にっこりと笑って私は扇をぱっと広げた。完全に黙ってしまった王太子を、私は冷笑を浮かべてみていた。
そして、そっとドレスのポケットに手を忍ばせる。そうするとミレーヌが悲鳴をあげる。酷いわね。まるで私が犯罪者かのようじゃない。
私はあくまで被害者である。こと、ここに至っては私は真っ当な意見しか言っていない。それなのに未だに被害者ヅラしているミレーヌに笑いを禁じ得ない。
十六年間。十六年だ。十六年もの間虐げられていたのだから、これぐらいは許容範囲。まだまだてぬるい方だろう。復讐されないだけマシだと思って欲しい。
───まあ、これからのことが、私にとっての復讐になる、のかしら………
ちなみに騎士や侍従は先程からチラチラと私たちを見ている。
「私、あなたに髪を切られたことも忘れてませんのよ?」
「はっ………!?」
あれはまだ、お互いに幼い子供の時の話。この王太子は私の髪がふわふわで気に食わないから、というただそれだけの理由で貴族の令嬢たる私の髪を無残に剣で切り落としたのだ。あの時は唯一母とおなじふわふわの髪───色は違うけれど。それを無残に切られたことに絶望し、泣いたものだ。
それを思い出したのか、王太子も少しうろたえている。ミレーヌは黙って私たちの会話を聞いていた。
「ね?面々の蜂を払わねば、我が身を滅ぼしますのよ?」
にっこりと笑って私は扇をぱっと広げた。完全に黙ってしまった王太子を、私は冷笑を浮かべてみていた。
そして、そっとドレスのポケットに手を忍ばせる。そうするとミレーヌが悲鳴をあげる。酷いわね。まるで私が犯罪者かのようじゃない。
私はあくまで被害者である。こと、ここに至っては私は真っ当な意見しか言っていない。それなのに未だに被害者ヅラしているミレーヌに笑いを禁じ得ない。
十六年間。十六年だ。十六年もの間虐げられていたのだから、これぐらいは許容範囲。まだまだてぬるい方だろう。復讐されないだけマシだと思って欲しい。
───まあ、これからのことが、私にとっての復讐になる、のかしら………
ちなみに騎士や侍従は先程からチラチラと私たちを見ている。