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汗で濡れたタオルなんて、全然気にならなかった。
幸か不幸か、保健室に先生はいなくて、私を椅子に座らせるなり、丹野くんは棚から手際よく何かを取りだした。
「よく、来るの?保健室」
とんだ世間話に、丹野くんは「まあ」と言って、私の向かいに立った。
腰をかがめて、顔の位置を合わせる丹野くんは、逆光でとにかく眩しい。
「ん、手退けて」
私の代わりにタオルを持ち、外したと同時に鼻に何かを詰められた。
「え、まって、…私これ自分でやったよ?」
たじろぐ私を見て、というより私の顔を見てそのクールフェイスが崩れた。