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教室について荷物を置く。
窓際の私の席とは真逆の方向、廊下側の1番前の席。
丹野くんは珍しく机に突っ伏して寝ていた。
いつもならもうちょっと遅く来るのに。
というか、ほぼギリギリに。
彼の席へ近づいて名前を呼ぶと、少し不機嫌そうな顔でこちらを見上げた。
機嫌が悪い猫みたいだ。
「金曜日はありがとう」
そう言ってタオルの入った紙袋を差し出すと、一体なんのことか理解してないような、それとも単に眠いだけなのか、紙袋の中を覗いた。
「わざわざ買ったの?」
「あ、うん。汚しちゃったし」
「…別によかったのに」
出しゃばりすぎてしまっただろうか。