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「河崎(かわさき)さん」



多分、そう言われた5秒後くらいに私の脳が理解した。

視線を教卓に戻すと、先生が表情を歪めてこちらを見ている。


…おまけにクラスの視線も。


「教科書26ページ、3行目から訳して」


先生の声は授業を一貫してブレない。

音読の時も、寝てる生徒を起こす時も、窓の外を見てる生徒に訳させる時も。


最悪だあ…と思いながら立ち上がって、事前課題で適当にやった現代語訳を読み上げる。

きっと、さっきの先生と同じ顔をしているな、私。

でもこれは、暑さゆえだ。


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