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授業が終わると、ニマニマしながら近づいてくる奴が1人。
「凛(りん)、なにやってんのぉ〜?」
ショートカットを今どきの外ハネにして、3回ほど折ったスカートを揺らせながら京華(きょうか)がやってきた。
京華は私の不運が大好きである。
というより、面白いことが好きなのだ。
「先生の顔、すっごい歪んでた」
私がそう言って顔を真似てみせると、京華は大爆笑した。
私は精神が太いわけじゃない。クラスのみんなに見られたのだって地味にダメージだし、まして先生からあんな顔されるなんて…
ある意味、京華のツボの浅さが救いである。
もうちょっとスッキリしてるんだから。