1
あ、そうそう、と言って京華はやっと笑うのを辞めた。
「私、今日祥平(しょうへい)の練習見て帰るから、一緒に帰れないわ」
半分申し訳なさそうに、でも半分溢れんばかりの幸せを見せる。
恋する乙女だな、京華。
こんなときばかりは可愛いと思ってしまう。
「いいよ、たまには一人がいいし」
「ちょっとぁ〜悲しみなさいよ!」
バキューンと小突かれて、そんなノリがなんだか笑えてくる。
付き合いたてだもんな、しばらく1人で帰ることになりそう、なんて思いながら、じゃあまた月曜ね、と足早に去っていった京華を見送った。