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「…あ」
ツーっと鼻奥から押し寄せてくる何かを感じる。
鼻血だ。
恥ずかしさで更に自分を取り乱していると、若干湿った暖かいので鼻を覆われた。
「汗臭いけど、我慢して」
少々強引に押さえつけられたのは、丹野くんの首に掛かっていたタオルだった。
バスケのユニフォームを着て汗だくの丹野くんを見るのは初めてだ。
この鼻血が、単なる顔面強打の鼻血出ない気がして、余計に恥ずかしい。
進路を変え、私に有無を言わせず保健室に向かう彼の行動は、私の想像する丹野くんとは異なっていた。
ちょっと強引で、すごく優しい。