バレンタインの奇跡
雅との時間は、1日1日が凄く大切。

だからね、1秒だって無駄に出来なかった。

バレンタインまで、後3日ーー。


そろそろ、チョコの材料を買いに行かないとーー


私は財布と、ショッピング袋を持ちーー。


街に駆け出した。





あれ?



見知った後ろ姿。


雅?


私が知ってる雅で間違いない。

だけど、小さな女の子と手を繋いで歩いて居たからーー。


きゅ、と苦しくなる胸。


雅ーー
その人は?



私はぼんやり、と雅の後ろ姿を見つめた。

歪む視界の中。


雨が数滴、地面を濡らした。


違うーー。



私の涙だ。



私は現実に、逃げた。

向きを返し走り出す。






右から光る強い光が、私を包んだ。







そこからは真っ白でーー。


フワフワして、何も考えられなかった。



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