キミとセクシャルを越えて。

“ボクは怖くて、
1時間前に着いてしまいました。

何をするでもなく
ただ、ジーっと、まっていました。


午後5:15 カレは、走りながら
遅れてきました。


[悪い!悪い!
テレビ見てたら、遅くなった!]

相変わらず、正直な人だ、
と思いました。

ボクは笑顔で、

“全然、全然。
ボクもさっき来たところ。”

平然と嘘をつきました。

そして、ボクらは、歩き始め、
屋台をふらふらと見て回わりました。

[なに食べる?あれ、うまそう!
あれもさ、後で買お!]

[ え、待って!射的あんじゃん!
やろやろ!]

カレは、好奇心旺盛で、
ボクは、ただ、ついてまわる
だけだったのですが、内心、
めちゃくちゃ、はしゃいでいました。

何年ぶりだろう、
こんなにはしゃいだのってくらい
楽しかったんです。

花火大会の醍醐味は、
恐らく、これだろうと思えるほど
幸せでした。


そして、あっという間に、
時間は過ぎ、午後8:00 花火大会が
始まりました。


そのとき、ふと、回りを見渡すと
家族や男女のカップルが
沢山いました。

ボクは、なぜ、カレに
ここまで付き合わせているのだと
急に、申し訳ない気持ちになりました。

恐らく、友達としてだったら
そこまで思わなかったと思うんです。

カレにしたら、友達の延長上にしか
過ぎないのかもしれない。

でも、ボクからしたら、
恋人だったんです。

自分の中で、
周りとの温度差を感じ始めてしまい
うしろめたさから、
誰にもみられたくないという思いから
人気の無い場所へとカレを誘いました。

“あっちにいこう”

カレは、暗闇でもわかるくらい
顔を近づけて、不思議そうな顔で、
ボクを見ました。

ボクは、困った顔をして、
人のいない場所を指差し続けました。

カレは、首をかしげながらも
言う通り、ボクの指差す方へと
歩きだしてくれました。






< 24 / 25 >

この作品をシェア

pagetop