キミとセクシャルを越えて。
“花火に背を向け、人気の無い場所、
人のいない場所を求め、歩き続け
結局、最初に集まった公園に
辿り着きました。
花火は小さかったんですが、
なんとか見える場所でした。
時計を確認すると
午後8:40でした。
もうすぐ、花火が終わってしまう。
楽しい時間が、終わってしまう。
今まで感じたことの無い、
寂しいという、
気持ちになっていました。
“今日は、ありがとう。
ごめんね、
急に移動したいなんて言って
なんかさ、
周りとの温度差…感じてしまって
ボクだけ…勝手に…
ちゃんと伝えたかったんです。
いつも、まっすぐで正直者なカレに。
それなのに、なぜか、涙が出てきて、
今、話を続けると、泣いているのが
ばれてしまう、カレを困らせてしまう、
そう思って、最後まで話せずにいました。
その時
ボクの左手が、暖かい手に
包まれているのを感じました。
ボクは、ハッとして
隣にいるカレを見ました。
カレは、真っ直ぐと、
花火の方を見つめたまま
[ これでいい? ]
と一言。
ボクは、
どうしたらいいか分からず
困惑していましたが、
“いい…”
とだけ、細々とした声で返し、
ボクも、花火を見つめたまま、
手を握り返しました。
その日
初めて、カレと手を繋ぎました。
例え、形だけでも、
恋人を感じることができました。