愛され、溶かされ、壊される
「あおちゃん、帰ろ!」
「うん」

手を繋ぎ、会社を出る。
思ったよりまだ寒くて、身を縮ませた。
「あおちゃん?寒い?」
「あ、うん。少し…」
「だったら――――」
「え…」
竜くんは一度手を離すと、コートの中に私を入れてくれた。
「竜くん……?」
「あおちゃん小さいから、結構すっぽりだね…!」

「温かい……。ありがとう」
「あおちゃん」
「何?」
「キスしていい?」
「え、あ、あの――――」

「………」
「ンンン……た、つくん……苦し…」
道の真ん中、他に沢山の人がいるのに私達の周りだけ、時が止まっていた。

解放されると、身体が震えていた。
寒いからではない。
竜くんのキスがあまりにも、甘くて、とろけそうで………。
「あおちゃん…その顔」
「へ?」
「僕以外の人には見せないでね…」

そう言って、またキスされた。
「ンンン…」
「ごちそうさま。あおちゃん!」
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