愛され、溶かされ、壊される
手を繋いで、駅まで歩く。竜くんの家は駅近だ。
「竜くん、今まで送ってくれてたの、遠回りだったよね…ごめんね…」
「ううん。全然!乗る駅は同じだし!それに少しでも一緒にいたいから」
「ありがとう。あ、あと服も!こんな可愛い服」

まさかお泊まりとは思っていた為、着替えがないので、一度帰ると言った私に、
「これ、着て!プレゼントしようって思ってたんだ」
とワンピースをプレゼントしてくれたのだ。

「ううん。とっても似合ってる!でも必要以上に僕以外の人と話さないでね!あおちゃんは僕の彼女なんだから!」
「え?うん。大丈夫だよ!竜くん以外は加那ちゃん位しか話さないから」



会社に着いて、加那ちゃんに話すと
「そう、良かったね!でも気をつけなよ!あの辺りの男とか……」
「え?あの辺りって…?」
加那ちゃんが指差す方を見ると、三井さんがいた。
三井さんは、三井 貴史さんといって私達の三期先輩だ。イケメンさんで竜くんが入社するまで、ずっと人気者だった。

「あっ!」
私達が見てたからか、三井さんと目が合った。
思わず反らす。
すると―――――
「濱野さん!」
「え?何でしょう?三井さん」
「これ、コピーお願いできる?」
と言われた。
「あ、はい!」
良かった、じっと見てたから怒られるかと思った……
< 34 / 73 >

この作品をシェア

pagetop