愛され、溶かされ、壊される
店に着いて、席に案内される。
そこはなんとVIP席だった。
「え?ここVIP席だよね?こんな素敵なとこ…」
「当たり前でしょ?それにそんな綺麗なあおちゃん、他の客に見られたくないし!やっぱVIP席予約しててよかった!」

料理も景色もほんとに素敵で、特別で幸せな時間だった。

食後のデザートを食べながら、
「竜くん、ほんっとうにありがとう!こんな素敵なホワイトデー初めて!」
満面の笑みで言うと、
「ううん。あおちゃんの為ならどんなことでもするよ!犯罪でも何でも!」
「は、犯罪って…!それはダメだよ!」
「わかってるよ(笑)ほんと可愛いんだから!」

「失礼いたします」
シェフの方が入ってくる。
「あっ…!」
あの、イケメンシェフだ。
写真よりは、カッコいいなぁ。
思わず、見つめていると……
「あおちゃん!」
「え?あ、ごめんなさい…」

「いぇ、本日は当店へお越しいただき、ありがとうございました。お食事はお口に合いましたか?」
「あ、はい!とても美味しかったです!」
「さようでございますか。よかった」
シェフさんが、ニコッと笑った。

「では。ごゆっくりお過ごし下さい」
そう言って、出て行くシェフさん。

「………」
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