愛され、溶かされ、壊される
二人で歩き、駅に向かう。
電車がきた。
「やっぱ多いね…」
「あおちゃん、手を離さないでね」
「うん」

手を繋いで中へ。
人がひしめき合い………

苦しい―――――

「あおちゃん、こっち!」
そう言って、端の方に誘導してくれた。
私を壁側に寄せ、私を庇うように竜くんが前に立った。

な、なんか抱き締められてるみたい////

通勤はほんと辛い。私はいつも潰されながら、出勤している。
でも、なんか今日苦しくない。
よく見ると、私が苦しくないように竜くんが守ってくれている。
「竜くん!」
「何?もう少しの辛抱だよ」
「いや、そうじゃなくて。もっとくっついていいよ。私はまだ余裕あるし」
「ダメだよ!あおちゃんにくっつきたいけど、それじゃあおちゃんが、潰れる」
「そんなことないよ。竜くんが辛いでしょ?」
「平気だよ!」

でも………
私は竜くんの、腰の辺りを持ち、自分の方に引き寄せた。
「え…?あおちゃん?」
「わ、私は、大丈夫だよ////」
我ながら、大胆な…………
顔が熱い――――

その時、電車が揺れ竜くんの口元が、私の耳に―――
「ダメだよ、あおちゃん。そんな可愛いことして益々僕の心持っていかないで……」
「ひゃっ――!」
今度は耳まで、真っ赤だ。
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