助けて
「……はい」

私はただ、答えるしかありませんでした。私は新人で反論なんてしたらいけない。だから、完璧になるようにと謳っている先輩がミスをしてしまうことについては何も言いませんでした。

(自分だって完璧じゃないのに……)

心の中ではそう思いつつも、私は新人だからと自分に言い聞かせてその言葉を心から消しました。ただでさえ仕事ができないんだ。従うしかない。そう言い聞かせて。

その頃から、否、ずっと前から私の心は少しずつ崩れそうになっていったのかもしれません。







< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop