元書店員ですが、転生したら貴族令嬢になっていました!
11.兄がスパルタです!
「はぁ……」
私は気の抜けた返事しかすることが出来なかったが、エリックはますます笑った。
「ふふっ……そんな返事、『アリアナ』は絶対しないもんなぁ」
(なんか、分かるなぁ……)
これは私の勝手な予想だけれど、今まで聞いてきた話の中で、アリアナは四角四面の真面目貴族令嬢だったのではないかと思っている。貴族令嬢の鏡、淑女らしい淑女。だから余計に超絶庶民の私が別人であるってことをみんな納得するのではないかな? と思います。
言ってて自分でも切ない小市民の私です。
「ダンスって何かできるのある?」
目の前にスタスタやってきた兄は、一見細身に見えるのだが近くによるとなかなかいい身体つきをしていた。そうでした、騎士団にいるって言ってたものね。家督を継ぐまで、騎士団とか副業をする貴族令息結構いるんですってよ。身長も高いし、イケメンだし、モテるだろうなぁ。嫁、早くやってきそうだなぁ。私、早く家を出なきゃいけなくなるなぁ。
早くこの国の勉強、頑張って独り立ち出来るようにならなくては。
「えーと、ダンスと呼ばれるものは生まれてから一度もやったことがありません」
「ぶはっ!」
それにしても兄、ことエリックってば笑いすぎじゃない? 別にそんな面白いことは言ってないけどなぁ。ただこれだけ笑ってくれると、こちらも話しやすい。
「ああもうこんなにおもしろいことになってるとは思わなかったな。それで君、名前なんて言うの?」
あ、私の名前聞いてもらえるんですね、兄もいい人認定しました。
「リンネです」
「ふーん。じゃ、リンネ、さっそくダンスのレッスン始めるけど、最初に言っておくね?」
「はい」
「俺、厳しいからね!」
☆☆☆
正直に言うと、私にはダンスの才能はほぼなかった、と思う。
しかしそこはスパルタ! スパルタの兄が、元気があれば何でも出来る! もとい、努力すれば何でも出来る! ということを私に見せつけんがために、ビシッバシッとステップを教え込み、一切の妥協を許さなかった。最初の宣言通り確かに兄は厳しく、スパルタではあったが、死までのカウントダウンは既にあと13日となっているため私には痛くもかゆくもない。そもそも日本の教育方針って基本スパルタだと思いません? そのことをありがたく思っています、要するにこれくらいのことは試練でもなんでもない!
「よし、今日はここまでにしよう」
エリックがとりあえず満足してくれた時には既に晩御飯の時間となっていた。私は習ったばかりのダンス終わりの貴族令嬢がする右足を軽く引いた後ドレスをつまんでする礼、とやらを彼に対してすると、部屋の隅にテーブルに置き去りにしてあったノートに飛びついた。立ったまま、今教わったことを全てすさまじい勢いでメモしていった。今すぐ書かないと絶対に忘れる。見た目は18歳でも、頭の中身はアラサーなんで!
私は既にエリックの存在を頭から消していた。
「すごいね、その文字。見たことないや」
後ろから突然声をかけられて、文字通り跳びあがった。
「わぁ! まだいたんですか!」
「なかなかの言い様だね、君」
苦笑する彼なんぞ放置して、私はノートの続きを書く。
―――10分後。
書きなぐられた感はあるがとりあえず今日習ったことの全てがつめこまれたノートが完成し、私が満足してペンを置いたとき。
「じゃ、ディナー行こうか?」
私は気の抜けた返事しかすることが出来なかったが、エリックはますます笑った。
「ふふっ……そんな返事、『アリアナ』は絶対しないもんなぁ」
(なんか、分かるなぁ……)
これは私の勝手な予想だけれど、今まで聞いてきた話の中で、アリアナは四角四面の真面目貴族令嬢だったのではないかと思っている。貴族令嬢の鏡、淑女らしい淑女。だから余計に超絶庶民の私が別人であるってことをみんな納得するのではないかな? と思います。
言ってて自分でも切ない小市民の私です。
「ダンスって何かできるのある?」
目の前にスタスタやってきた兄は、一見細身に見えるのだが近くによるとなかなかいい身体つきをしていた。そうでした、騎士団にいるって言ってたものね。家督を継ぐまで、騎士団とか副業をする貴族令息結構いるんですってよ。身長も高いし、イケメンだし、モテるだろうなぁ。嫁、早くやってきそうだなぁ。私、早く家を出なきゃいけなくなるなぁ。
早くこの国の勉強、頑張って独り立ち出来るようにならなくては。
「えーと、ダンスと呼ばれるものは生まれてから一度もやったことがありません」
「ぶはっ!」
それにしても兄、ことエリックってば笑いすぎじゃない? 別にそんな面白いことは言ってないけどなぁ。ただこれだけ笑ってくれると、こちらも話しやすい。
「ああもうこんなにおもしろいことになってるとは思わなかったな。それで君、名前なんて言うの?」
あ、私の名前聞いてもらえるんですね、兄もいい人認定しました。
「リンネです」
「ふーん。じゃ、リンネ、さっそくダンスのレッスン始めるけど、最初に言っておくね?」
「はい」
「俺、厳しいからね!」
☆☆☆
正直に言うと、私にはダンスの才能はほぼなかった、と思う。
しかしそこはスパルタ! スパルタの兄が、元気があれば何でも出来る! もとい、努力すれば何でも出来る! ということを私に見せつけんがために、ビシッバシッとステップを教え込み、一切の妥協を許さなかった。最初の宣言通り確かに兄は厳しく、スパルタではあったが、死までのカウントダウンは既にあと13日となっているため私には痛くもかゆくもない。そもそも日本の教育方針って基本スパルタだと思いません? そのことをありがたく思っています、要するにこれくらいのことは試練でもなんでもない!
「よし、今日はここまでにしよう」
エリックがとりあえず満足してくれた時には既に晩御飯の時間となっていた。私は習ったばかりのダンス終わりの貴族令嬢がする右足を軽く引いた後ドレスをつまんでする礼、とやらを彼に対してすると、部屋の隅にテーブルに置き去りにしてあったノートに飛びついた。立ったまま、今教わったことを全てすさまじい勢いでメモしていった。今すぐ書かないと絶対に忘れる。見た目は18歳でも、頭の中身はアラサーなんで!
私は既にエリックの存在を頭から消していた。
「すごいね、その文字。見たことないや」
後ろから突然声をかけられて、文字通り跳びあがった。
「わぁ! まだいたんですか!」
「なかなかの言い様だね、君」
苦笑する彼なんぞ放置して、私はノートの続きを書く。
―――10分後。
書きなぐられた感はあるがとりあえず今日習ったことの全てがつめこまれたノートが完成し、私が満足してペンを置いたとき。
「じゃ、ディナー行こうか?」