元書店員ですが、転生したら貴族令嬢になっていました!
番外編 エリックが義妹夫婦の家に遊びに行った話
①
エリックが義妹夫婦の家に招待されて遊びに行ったのは、ヴィクターの仕事のために二人が南の地方に移り住んでしばらくしてからであった。
ちょうど新しく王太子から請けた仕事の相談もしたいところだったので、渡りに船とばかりにスケジュールを調整して遊びに行ったのであった。
王宮が準備したであろうその家は思っていたよりこじんまりしていたが、これから不定期に地方を転々とすることになるだろう二人は十分だと思っているのに違いない。
玄関から中に入ると、リンネが笑顔で出迎えてくれた。ヴィクターの姿はない。
「エリック!」
リンネとは彼女が文字を解せるようになってから頻繁に手紙をやり取りするようになっていたため、近況は知っていたのだが、やはり直接会えるととても嬉しくなるくらいに彼女のことが好きである。リンネが生まれ変わったのが、自分の義理とはいえ妹という立場のアリアナでなかったら、ヴィクターに譲ったりはしなかっただろうと思う。
「ヴィクターは?」
「今、仕事で出かけているよ。もうすぐ帰ってくると思う」
エリックの外套をリンネは自然に受け取り、玄関横にあるクロークにかけにいった。普通はメイドがするようなことを彼女はさっさと自分でしてしまう。人によっては下賤なことをすると眉を潜めるだろうが、エリックにはその身軽さがとてつもなく好ましく思える。ヴィクターはだからこそリンネを一緒に連れて歩けるのだし、リンネのお陰で召使の数も最低限で良いから、羨ましいものだ。
「家にいた時みたいに、厨房でご飯食べるのでいい?準備しておいたよ」
「うそ! 何を作っておいてくれた?」
リンネの作る異世界仕込みのご飯は最の高である。リンネが伝授してくれたおかげで侯爵家の食事内容は各段に向上したのだが、やはりリンネが直々に作るご飯が一番美味しいと思う。
厨房に案内してくれながら彼女がメニューを教えてくれる。
「メインはエリックの大好きなマカロニグラタンだよ」
ニコニコしているリンネは文句なく可愛い。大嫌いだったアリアナの顔なのに、それを忘れるくらい可愛い。
「わ~~! めちゃくちゃ嬉しい、大好き(マカロニグラタンが)」
「ほお」
後ろからひくーーーい殺傷能力抜群の声がして、命の危機を感じてエリックはびくっと立ち止まると、振り返った。
ちょうど新しく王太子から請けた仕事の相談もしたいところだったので、渡りに船とばかりにスケジュールを調整して遊びに行ったのであった。
王宮が準備したであろうその家は思っていたよりこじんまりしていたが、これから不定期に地方を転々とすることになるだろう二人は十分だと思っているのに違いない。
玄関から中に入ると、リンネが笑顔で出迎えてくれた。ヴィクターの姿はない。
「エリック!」
リンネとは彼女が文字を解せるようになってから頻繁に手紙をやり取りするようになっていたため、近況は知っていたのだが、やはり直接会えるととても嬉しくなるくらいに彼女のことが好きである。リンネが生まれ変わったのが、自分の義理とはいえ妹という立場のアリアナでなかったら、ヴィクターに譲ったりはしなかっただろうと思う。
「ヴィクターは?」
「今、仕事で出かけているよ。もうすぐ帰ってくると思う」
エリックの外套をリンネは自然に受け取り、玄関横にあるクロークにかけにいった。普通はメイドがするようなことを彼女はさっさと自分でしてしまう。人によっては下賤なことをすると眉を潜めるだろうが、エリックにはその身軽さがとてつもなく好ましく思える。ヴィクターはだからこそリンネを一緒に連れて歩けるのだし、リンネのお陰で召使の数も最低限で良いから、羨ましいものだ。
「家にいた時みたいに、厨房でご飯食べるのでいい?準備しておいたよ」
「うそ! 何を作っておいてくれた?」
リンネの作る異世界仕込みのご飯は最の高である。リンネが伝授してくれたおかげで侯爵家の食事内容は各段に向上したのだが、やはりリンネが直々に作るご飯が一番美味しいと思う。
厨房に案内してくれながら彼女がメニューを教えてくれる。
「メインはエリックの大好きなマカロニグラタンだよ」
ニコニコしているリンネは文句なく可愛い。大嫌いだったアリアナの顔なのに、それを忘れるくらい可愛い。
「わ~~! めちゃくちゃ嬉しい、大好き(マカロニグラタンが)」
「ほお」
後ろからひくーーーい殺傷能力抜群の声がして、命の危機を感じてエリックはびくっと立ち止まると、振り返った。