ただ今、2人の王子に愛され中
第2章 加速する想い
王子たちの溺愛〈音葉side〉
『こいつ、俺の彼女ですから』
『僕と付き合わない?』
「放課後に、校舎裏に来てください。」
朝、登校して下駄箱を開けると、そう書かれたメモが落ちてきた。
上履きは、相変わらず入っていない。
…一体どこになくしたんだろう?
そういえば最近、私のモノがしょっちゅう行方不明になる。
昨日は、数学のノート。
一昨日は、シャーペンが何本か。
その前は、体操着が一式なくなった。
私がもともと忘れっぽい性質であるということなど、充分自覚している。
しかしこれほどとは。
いくらなんでも、なくしすぎじゃないだろうか。
話がそれたが、私の下駄箱には、上履きの代わりにメモが1枚入っていた。
「放課後…校舎裏?」
何の用だろう。
カツアゲだろうか?
でも私の家庭は、カツアゲられるほど裕福ではない。
じゃあ何の用だろう。
そもそも、このメモを私の下駄箱に入れたのは誰だろう。
「まあ~いっか?」
どうせ、放課後になれば分かることだ。
今、このメモについて考える必要はない。
私はメモをブレザーのポケットに突っ込み、来客用の緑のスリッパを足に引っ掛けると、1年1組の教室へと向かった。