ただ今、2人の王子に愛され中
…重い。
腕がしびれてきた。
抱えたプリントの山のせいで、前がよく見えない。
やっぱり、隼人に手伝ってもらうべきだったかな…。
私は早くも、後悔していた。
職員室へ向かうには、階段を降りなければならない。
こんなに視界が悪い状態で、階段なんて降りられるんだろうか?
「でも、降りなくちゃ。」
私は、そろそろと、階段に足を踏み出す。
1段。
もう1段。
慎重に、慎重に。
長い時間をかけて、私は踊り場へと降り立った。
どこかにつまづくことも踏み外すこともなく、無事に。
多分、それで油断した。
「うわっ?!」
男の子の悲鳴が聞こえた。
と思った瞬間、私の身体は傾いた。
私は踊り場で、派手に転んだ。
「いったあ…。」
腰を押さえながら起き上がり、自分の周囲を確認する。
大量のプリントが、踊り場にばらまかれていた。
…これを拾い集めなければならない。
そう思うとうんざりした。
そんな散らばったプリントの上に、1人の男の子が倒れていた。
私と同じく腰を押さえて、痛そうに顔をしかめている。
おそらく私は、階段を上って来ていたこの男の子と、踊り場でぶつかったんだ。
そして、2人して派手に転んだ。
原因は、どう考えても私だ。
プリントのせいで視界が悪い中、早足で踊り場を横切ろうとした。
私のせいだ。