ただ今、2人の王子に愛され中
「ご、ごめんなさい!あの、大丈夫ですか?」
私は、倒れている男の子に向かって、右手をさし出した。
男の子は、それを軽く払いのける。
「大丈夫だよ。ちょっとだけ、腰痛いけど。」
彼は、柔らかく微笑みながら起き上がった。
「君こそ、大丈夫だった?」
私は、言葉を失った。
立ち上がった男の子は、思わず息をのんでしまうほどの、美少年だった。
抜群のスタイル。
よく通る、透明感のある声。
そして、
隼人を超えるほどの、整った顔立ち。
「は…はい……大丈夫でした…。」
私が答えると、彼は、踊り場に散らばったプリントを見まわした。
「ずいぶんな量だね。これ、君1人で運んでるの?」
「はい。同級生に…頼まれたんで。」
「どこまで運ぶの?」
「職員室まで、です。」
「遠いな…。ねえ、僕も手伝っていい?」
そう言うと、彼は私の答えを聞く前に、プリントを拾い集め始めた。
「えっ、そんな、悪いです!」
「いいのいいの、気にしないで。」
「でもっ。」
私の唇の前に、男の子の人差し指が指しだされた。
突然のことに、私は再び言葉を失う。
「しーっ。手伝わせてよ。女の子を助けることが、男の役目でしょ?」
どこかで聞いたようなセリフだ。
「ぶつかっちゃったの、僕の責任もあるからさ。」
結局私は、彼と一緒にプリントを拾い集め、職員室に運ぶことになった。