チョコレートがなくても
「ただいま、絢音」

「和馬くん……?」

ずっと触れたいと思っていた温もりだ。絢音が恐る恐る顔を上げると、近い距離に和馬の優しい顔がある。絢音は泣きながら「寂しかった!」と子どものように言い、和馬の背中に腕を回した。

「ごめんね、一年も遠くに行くことになって。もう絢音から離れないから……」

和馬はそう言いながら、絢音の頭を優しく撫でてくれる。絢音は顔を上げた後、背伸びをして距離をさらに縮めた。

身長差がそれほどあるわけでもなく、二人の距離はあっという間に縮まる。一年振りに重なった唇は、チョコレートのように甘かった。

「絢音!」

しばらく唇を重ねた後、和馬は恥ずかしそうに顔を赤くする。それを絢音は瞳を潤ませて見つめた。

「一年分のキス、してくれないの?」

そう絢音が言うと、「いつの間に煽るの上手になったの?」と言われながら絢音にキスの雨が降る。何度も唇が重なり、和馬の唇は頬や瞼、首筋にも振った。
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