お願い、名前を呼んで。
当日の朝、私は浅い眠りのまま夜を過ごしたにも関わらず、緊張で心が張り詰め、眠気なんて感じない。

コーヒーを、飲む手さえ震えているを自覚する。
相変わらずの小心者は変わらないみたいだ。

家を出る10分前に電話が鳴った。

「もしもし、おはよう。」

「おはよう、優香。昨日は眠れた?」

「全然。」

「だろうな、優香らしい。今から、沢村と新幹線に乗るから、10時頃に東京駅に着く予定。セレモニーは、11時からだろ。それには間に合うと思うから。」

「ありがとう。気を付けて来てね。」

「優香も頑張れよ。」

「ありがとう。じゃあ、後で。」

私達はこの2ヶ月、結局、ほとんど会う時間もなく
過ごした。それでも慰め合ったり、励ましあったりしながら、2ヶ月前より更にお互いへの想いは深くなったと感じる。

隼人がいてくれたから、ここまで頑張れた。
隼人が助けてくれたから、今日が迎えられる。

でも、同じことを隼人も私に言ってくれる。
それを私は素直に受け止めようと思う。

さぁ、私達の集大成を見届けよう。
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